見出し画像

認知症に優しく、共生できる麻生区を目指して~おれんじあさお~

任意団体「おれんじあさお」は麻生区が目指す「認知症にやさしいまち あさお」の実現に貢献したいと、2023年2月に発足。認知症に対するさまざまな偏見をなくし、皆が「共生」できる社会の実現を目指して活動しています。
(取材日:2023年10月18日・12月24日・2024年1月16日 レポーター:佐々木直子)


活動を支えている4つの柱

「おれんじあさお」の活動の根幹を支えているのは4つの柱。

1つめは「共育」。麻生区内の公共施設や民間の老人ホームで、認知症サポーター養成講座を開催しています。
2つめは「ネットワーキング」。賛同者のネットワークを構築し、つながりあった仲間での現状認識、課題検討など認知症対応の共通認識を形成。
3つめは「活動支援」。すでに地域で活動している人や、組織、サークル団体の支援とサポート。
そして4つめが「情報発信・広報活動」。チラシやブログを使って、地域住民に向けた情報発信と広報活動を行っています。
定期的に勉強会や課題解決について研修会を行っています。

新百合21ビルにある福祉パルあさおの会議室で、課題検討会を開催。仕事を終えたメンバー達が集まってきます。

メンバーは介護施設職員、介護福祉士、認知症介護指導者など、専門知識があるスペシャリストのほか、活動趣旨に賛同した認知症サポーター、一般市民も参加しています。
具体的な活動は、認知症疾患医療センターなどと連係し、認知症本人の見守り、傾聴活動を行うほか、月に一回の課題検討会と勉強会を開催しています。
勉強会や「認知症サポーター養成講座」には、メンバーだけでなく業種や年代に関わらず幅広く、多くの方の参加を募っています。認知症を理解してもらう第1歩として、初歩的な知識に触れてもらうことを目的とした講座は、認知症の正しい知識や、つきあい方についてなどの講義を行います。さらに、勉強会を開催し、認知症にまつわるセミナーやステップアップ研修として現地の見学会や、地域交流などを実施しています。

毎月第2水曜日には、お買い物サポート「ロバの日」を実施

毎月1回、認知症の方をまちまで連れ出してもらい、商品が揃っている大型商業施設で、お買い物のサポートをする活動もしています。2023年10月にはじまり、毎月1回を目処に開催。2024年からは毎週水曜日の13時からイトーヨーカドー新百合ヶ丘店で行っています。

イトーヨーカドーの従業員さんや、エスコート者と一緒に好きな売り場を巡ります

エスコート者(支援者)は、対象者が見たいもの、欲しいものなどを伺い、一緒に売り場まで付き添います。商品選びの相談にのったり、サイズが気になる洋服は試着を促したり、購入金額の確認をしたりします。認知症サポーター養成講座を受講したヨーカドーの販売員も、その日は胸元にオレンジの「ロバ」を付けてくれているので安心です。はじめに買うつもりだったお目当てのものではなく、その場で見つけた商品を購入することもあり、売り場の店員さんやエスコート者との会話もはずみます。
お買い物のあとは、施設内の喫茶店でゆっくりお茶を飲み、雑談に花を咲かせます。

アテンドをしてくれる従業員もオレンジのロバくんを付けています

共同代表の倉石知恵美さんのコメント

「認知症対策の基本は、多くの人が正しく知ることです。理解を広げ、偏見を解消し、認知症になっても安心して暮らせるまちにしたい。本人の興味や趣味、お好きなものを見つけ、それが体験できる機会も提供していきたいです。認知症は、症状や進行が人によって異なるので、それぞれの状況に合わせて柔軟に対応することが大切です。地域の支援、専門家と連携して、その人に合ったサポートや方法を適切に調整することも重要です。

昨年度まで麻生区役所地域みまもり支援センター地域支援課で、認知症地域支援推進員として勤務していた倉石さん。

共同代表大竹明さんのコメント

「団体の目標である、『認知症にやさしいまち あさお』の実現に向けては、まだまだ!という思いが強く、もっともっと活動を推進、活発化していかねば、と思っています。
2024年1月の勉強会では『おれんじあさお』の活動目標(目的)を再確認しました。
趣旨は、『認知症の共生ひろばを作ること』で、活動の軸足は認知症に置いていますが、認知症の方だけに限らず、「共生」を目指し、全方位的な活動にも発展する可能性もあります。長寿日本一と言われている麻生区でも、認知症をわがこととして考える土壌が未だに出来ていません。認知症への対応が急務であるにも関わらず、危機意識が圧倒的に不足しています。早期発見・早期対応と言いつつ、受診に結びついていないのが現状。認知症についての勉強や、認知症患者への偏見をなくすためには何をすればよいのかを考えていく必要があります。
麻生区には推定7000人が対象者となっていますが、そのほかにも、隠れ認知症や隠れMCI(Mild Cognitive Impairment 軽度認知障害)がいます。どこに接点を持って、掘り起こしていくかも課題です。
周囲の情報発信力がある団体とも連携し、仲間を増やすとともに、介護事業者が検討会で話した思いや意識などを一般の人に伝えていきたいと思います。」

買い物ツアーで当事者をエスコートしている大竹さん

<データ>
• おれんじあさお
• 代表:大竹 明(おおたけ・あきら)・倉石 知恵美(くらいし・ちえみ)
• 連絡先:Tel.080-9301-8152  メールorangeasao@gmail.com
• 会員:ML登録会員49名(2023.11.1現在)
• 活動日:不定期(毎月活動) 活動場所:福祉パルあさお ほか


最後まで読んでくださりありがとうございます。市民の方の地域活動や市民活動等への参加と継続を応援するため、Facebook(つなぐっどKAWASAKI)でも情報を発信しています。よろしければ、フォロー、いいね!をお願いします♪