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アートロジ麻生~ご近所アートで街の文化を育て、芸術の卵を孵化させる

この記事は、2023年08月15日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。

  「芸術・文化のまち麻生」。その麻生区の北から南へと流れる片平川にかかる富士見橋の近く、遊歩道の一部に6基のパネルが設置されています。ここが「アートロジ片平」。地域の人が創った多様なジャンルのアート作品が展示されているスペースで、アートと露地(路地)をつなぐユニークな企画が実践されている現場です。展示作品は2週間ごとに入れ替わり、プロアマを問わず、様々なアーティストが制作した地元に因んだ作品を見ることができます。企画・運営をされているのは2022年4月に設立した「アートロジ麻生」。代表の中山周治さん(麻生区片平在住)にお話を聞いてきました。


アートロジ麻生代表の中山周治さん

ご自身のことについてお聞かせください

私は麻生区片平で生まれ、ここで育ちました。先祖代々この地で続けてきた農業を営んでいます。今の仕事をする前は県立高校の英語教師をしていました。学生時代はアングラ劇団の役者として舞台に立ったこともあり、映画やお芝居も観まくりました。教師になってからも、演劇部の顧問や、県が主催する演劇大会の運営にも関わり、総合学習の一環として生徒たちと一緒に、アートで地域とつながるプロジェクトにも積極的に取り組んできました。町の人49人に生徒49人がインタビューをした本を出版するなど、教室から飛び出していく授業もしました。決められた場所から外に飛び出していく醍醐味と高揚感を「アートロジ」活動でも味わいたいと思っています。

作品は2週間ごとに替わります

プロジェクトについて教えてください。

美術館に行けば、様々な芸術作品に触れられ、高名な画家の作品が鑑賞できます。

アートの高嶺を愛でるのはもちろんいい体験です。しかし、アートの裾野はどこまでも広がっています。裾野も楽しまないのはモッタイナイ。例えば「キュビズム」と呼ばれる独特な技法を生み出したピカソを知らなくとも、ピカソのようにユニーク作品を創るひと、麻生区のピカソが現れたのではないかという作品に出会うことがあります。ほかにも、日本独自の水墨画風を確立した雪舟、日本史上最高の俳諧師として知られている芭蕉、彼らを彷彿させる作品にだってアートロジで出会える。もちろん彼らの作品を知らなくても、知識なんかなくてもアートは楽しめます。

アートロジは作品を展示するために貸出をしているレンタルスペースではありません。我々スタッフが作品を集め、独自の視点で選び、編集することで新しい価値が生まれ、それを道往く人々と共有することができるアートスペースです。犬も歩けば棒に当たるではないですが、人も歩けばアートにあたる、誰もがアートに親しめる場所がある。そんな街ってイイよね、という思いで活動しています。

展示作品は丁寧に額装していきます

どんな作品を扱っていますか?

地元の人が何年もかけて作った貼り絵、野菜直売店のポップ看板、老人クラブの俳句、書家の作品、手作り紙芝居カット、サッカーキッズの絵日記、子ども記者の報道写真、写真家が活写した在日外国人のポートレイトなど、ジャンルを超えて自由に創られた作品を選んでいます。

地元の方、出品者からの反響は

「『アートロジ』ほぼ毎週、犬の散歩がてら見ています。はじめの頃に展示された、養蜂をされている外国のかたを撮った写真がとても印象に残っています。思わずInstagramをフォローしてしまいました。あと麻生区出身の小説家を紹介されていたときは写メを撮ったり、本屋さんへ行ったりと作品に啓発され一歩進んで楽しませていただいています。絵画教室の子どもたちが描いた絵手紙も楽しかったですよ。」(近くに住んでいる女性談)

「アートロジさんには今年の3月末から5月上旬まで創作紙芝居の展示をしていただきました。お散歩しながらゆっくりと作品を見られるのって素敵だと感じました。今回は中山さんからのご提案で参加させていただきましたが、とても良い企画に巡り会えた気持ちでした。」(市民紙芝居・あさお 吉田静香さん)

「あの健康ロードは散歩する人が非常に多く、立ち止まって見てくれる方もたくさんいらっしゃって反響が大きいのだとか。今回も好評を博し嬉しいコメントをたくさんいただいたそうで、こども達も大変喜んでおりました。」(造形教室こどもの木 圓崎弥生さん)

対岸からも作品が見られます

中山さんへお聞きします「今後の抱負を教えてください」

プロアマを問わず、地元に因んだ作品をユニークな発想でキュレーションしています。「誰もがアートに親しめる場所作り」を実践し、この活動を拡大していきたい。今あるパネルを増やすということではなく、この活動を知ってもらい、「アートスペース」が各所に点在する街にしていきたい。区内や市内各所に「アートロジ」が増えていくことを願って、この活動をまずは10年、続けていきたいと思っています。

アートロジ片平の運営を手伝ってくれるスタッフを募集中です。時折「ロジ(路地・露地)」に赴いて作品を見守っていただいたり、作品を額装したりといった作業をお手伝いください。また、ご自身の近くにある路地でアートロジをやってみたいという方は、パネル1枚からでもできます。ご連絡ください。

(取材日 2023年5月23日・6月24日 レポーター:佐々木直子)

「アートロジ麻生」基本情報

所在地(アートロジ片平・パネル展示場所):川崎市麻生区片平8-5-4
アクセス:小田急線「柿生」駅北口から麻生区スポーツ・健康ロードを経由して徒歩25分


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