Colors かわさき展~未来へ向け色とりどりのアートが花咲く~
この記事は、2018年12月7日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。
川崎市では、東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めていくため「かわさきパラムーブメント」を展開しています。
川崎市文化財団ではその取り組みの一つとして、障がいの有無に関わらず、作品の魅力をダイレクトに感じてもらう展覧会を開催しました。
特別な扱いをされない多様な社会を目指して
未来へつながる才能の育成と発掘を目的として、市内の障がい者福祉サービス事業所から立ち上がったstudio FLATや市内の施設等で活躍するアーティスト約40名、そして市立特別支援学校の子どもたちの作品等が展示されました。
川崎市のロゴマークにちなんだ光の三原色(赤、緑、青)、この3つの光を組み合わせるとたくさんの色(colors)が織りなされていきます。多様性を表すこの言葉が今回の展覧会名とされました。
未来へ向けて色とりどりのアートが花咲くよう願いを込め、そしてこの展覧会をきっかけに「障がい者アート」、「アールブリュット(生の芸術)」、「アウトサイダーアート」といった呼称のように、特別な扱いをされない多様な社会を目指しています。
展示だけでなくワークショップなど多彩な企画
「Colors かわさき展」は2018年11月16日(金)~11月25日(日)ミューザ川崎シンフォニーホール4F 市民交流室で開催されました。
明るい会場では作品展示のほか、太鼓&ダンスワークショップ(11月17日)やアーティストによるワークショップ(11月23日)も開催されました。
また並行して、交流会(11月17日・企画展示室)、シンポジウム「アートで広がる多様なつながり」(11月18日・市民交流室)、アートグッズ 企画と販売の実践講座(11月22日・研修室1)も開催されました。
会場は多くの来場者で賑わっていました。福田市長、伊藤副市長はじめ名誉市民の藤嶋昭氏なども来場しワークショップを楽しんでいかれたとのことです。
「Colors かわさき展」を企画しアートディレクターを務めたstudio FLAT代表大平暁(おおだいら さとる)さんによると「昨年は「FLAT展かわさき ~アートが人をつなぐ~」を開催しました。今回の「Colors かわさき展」も好評で来場者がすでに1000人を超えています」とのことでした。
美術館や展覧会を見て回るのが趣味だという来場者は「ここでは他では見られない色使いや構図にハっとさせられます。以前たまたまFLAT展を見て以来すっかり虜になってしまいました。本当に素晴らしいです」と感想を述べておられました。
ライブペイントとワークショップ
23日13時から3人の作家によるワークショップとライブペイントが行われました。それぞれの作家の周りには人垣ができる盛況ぶりでした。
「工場画を描くライブペイント」
半澤真人(はんざわ まさと)さんは、皆の前で得意の工場画を描き、独特な世界が生まれていく様子を披露しました。
半澤さんは2009年Tama Art Competitionスポンサー賞受賞、日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展2018審査員賞受賞、アールブリュット全国公募入選などの受賞歴があります。
「リクエストでどうぶつを描く」
山内健資(やまうち たけよし)さんは、参加者一人一人からのリクエストに応じて、丁寧に動物の絵を描きました。優しい色使い、暖かくてどこかユーモラスな作品です。それぞれに「福田市長さんへ」「伊藤副市長さんへ」などと宛名が記入されています。
心を込めて描いておられることが感じられ、リクエストした人たちは感激して記念撮影をしていました。ワークショップの時間が終わるまでリクエストの行列が絶えませんでした。
「色紙で立体をつくろう!」
大薗一樹(おおぞの かずき)さんのワークショップでは色画用紙による’’立体的な切り絵’’が作成されました。一枚の画用紙から切り絵と折り紙を組み合わせた手法で立体的な動物等が出来上がっていきます。リクエストに応えて初めてトライする動物もお喋りしながら切り進めて仕上げます。きれいにくり抜かれ無駄な切り跡は一切ありません。どうしてこんなことができるのかと不思議に感じるほどです。子どもたちに大人気でした。
商品化への取り組み
これらの作品は、絵画作品として売れているだけでなく、様々な形で商品化もされています。
宮本憲史朗(みやもとけんしろう)さんの作品はフェリシモというブランドで財布、傘、アクセサリー、小物など、また清井了支(せいい さとし)さんは同ブランドのワンピースに製品化されています。この作品は川崎市の「市政だより2018年9月号」の表紙を飾りました。
山内健資さんの作品は川崎市ブックフェアーで、本のしおりのイラストとして採用されました。
2018年12月にラゾーナ川崎プラザで開催される「つながりの展覧会」では、4人の川崎市民作家の作品などがマスキングテープとなって販売される予定です。
取材後記
studio FLATの大平暁さんは、「障がいのあるなしに関わらず、作品の魅力そのものを’’FLAT’’に感じてもらいたい、作品を’’FLAT’’ つまり横並びに展示して’’障がい者アート’’という概念を超越していきたい」と願って活動しておられます。このようなムーブメントが広がっていきますよう願ってやみません。
「Colorsかわさき展」は素晴らしいイベントでした。この街が、彼らの力をFLATに発揮できる場であることを一市民として誇りに思います。
お問い合わせ
公益財団法人川崎市文化財団
TEL: 044-272-7366
主催:川崎市 / 公益財団法人川崎市文化財団