見出し画像

コロナ禍を乗り越えて進め! ~「劇団ちりりん座」~

この記事は、2021年12月7日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。

コロナ禍によって、公演等の中止が相次いでいた文化・芸能活動。新百合ヶ丘を拠点に、シニアパワーを結集してスタートした「劇団ちりりん座」が、着実に活動を広げています。
世代を超えたコラボレーション、オンライン配信、ノベライズ本発行など、活動の幅も広げている「劇団ちりりん座」。代表の山浦弘靖(やまうら ひろやす)さんにお話を伺いました。
(取材日:2021年11月14日)

山浦弘靖さんは、「銀河鉄道999」の脚本家として知られていますが、この他多くの人気アニメ、映画の脚本、ドラマの脚本を次々と手がけ、また著作の分野でも、ジュニア向け・大人向けミステリー・SF小説等も著しておられます。

【山浦さんが手がけた主な作品】
アニメ…「一休さん」、「ウルトラセブン」
映画…「ゴジラ対メカゴジラ」、「首都消失」
ドラマ…「七人の刑事」、「ザ・ガードマン」、「キイハンター」
著作…文庫本「星子シリーズ」


劇団を始められたきっかけは?

長年暮らしてきた麻生区で劇団を立ち上げたきっかけの一つが妻の介護。夫婦でひきこもりがちになってしまい「何か新しい世界をつくりたい」と思った、それが私にとっては、自分の劇団を始めることだったわけです。一緒に音楽劇を創ることは妻のリハビリにもなりましたしね。

今は戦争を知らない人が増えている。そんなことも伝えたい。今問題になっている介護についても、また他にも私たちの社会が抱えている問題を、多くの人と共に考えてみたい。演劇を通して、そのようなことを発信していきたいのです。

2014年4月に「劇団ちりりん座」を設立し、第一回公演「星の夢列車」を上演し、以降毎年公演を続けてきました。スタッフも出演者も、プロも居ればセミプロもいるし、もちろん一般市民からの参加もあります。そして観客の方々も一緒に楽しんだり考えたりする、そんな市民参加型の劇団です。

「ちりりん」とは、ティンシャというチベット仏教で僧が用いる法具の音色を表しているんです。場を浄化し、心の安定を導いてくれるそうです。

「アントニーと三人のクレオパトラ」上演後

これまでに上演された演目など教えてください

「劇団ちりりん座」のために沢山の脚本を書いてきました。代表作として挙げるなら「しんゆりシェイクスピア・シリーズ」や「北斎降臨」、「スミレノハナサクコロ」ですかね。

「スミレノハナサクコロ」は私自身の介護体験から着想を得たものです。介護のためにゆがんでくる家族関係や、問題解決への模索などね。

私が脚本を書いたのではありますが、稽古場では、「私のお祖母ちゃんのときは、こんな風に対処していた」とか「うちのお祖父ちゃんは、こんなことを怖がっていた」など、それぞれ経験からの意見を言い合って、まさに皆で創っている感じです。

「スミレノハナサクコロ」練習風景

コロナ禍を乗り越える工夫など、聞かせていただけますか?

2020年秋には、「文化庁・文化芸術スポーツ活動の継続支援事業」の補助金交付をいただき、「花の色は移りにけりな」「北斎降臨」を無観客公演・映像化という手法で取り組みました。

「北斎降臨」の舞台写真

2021年秋には「文化庁AFFコロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動の充実支援事業」に認定され、10月に「おとなたちの楽藝会」を実施、12月に「スミレノハナサクコロ」を上演の予定です(取材当時)。

いずれの場合も、来場者には、検温、手指の消毒、拍手のみの応援、連絡先の記入等をお願いしました。会場は消毒の徹底、換気、入場者数を制限し密を避ける、等の配慮をしました。

もちろん出演者およびスタッフ達は、稽古の際には毎回検温、手指の消毒、簡易PCR検査の実施、本公演では事前にPCR検査を実施しました。皆で「決してコロナ感染者を出さない」という決意で臨みました。

この度のコロナ禍は、かつて経験したことのないものでした。一時は稽古をする場もない、演じるための劇場もないという状況でした。けれど私達は「演じたい」のです。諦めない。その時にできることをやる。何ができるか、どうやったらできるか、知恵を絞る。それが大切なのです。

「スミレノハナサクコロ」チラシ

今後への思いを聞かせてください

これまでに行ってきた公演をブラッシュアップさせ、新たな演出や出演者で実施していきたいですね。

また他の文化芸術関係団体とコラボレーションしていく予定です。今年(2021年)の公演では若い世代の劇団や、音楽家などと共に行っております。これからもどんどん増やしていく予定です。

いろいろな分野のオーソリティを招聘して公演を実施したいとも思っております。幅が広がっていくのが楽しみです。

オンライン配信も、これからしっかり取り組んでいく必要があると思います。いつでも、どこからでも視聴できるのですから、大きな可能性がありますからね。
その他、ノベライズ本発行なども予定しています。

「劇団ちりりん座」を続けてきて嬉しかったことは?

私が書いた脚本を役者さんが読んで、舞台で動いて、芝居になる、その過程を通して、それまでは文字に過ぎなかった作品が生きて動き出すんです!
その感動が何より嬉しいです!
それから、「劇団ちりりん座」は“役者も観客も共に楽しむ市民劇団”を目指しておりますので、劇を見た方が、家族や介護の有り様を考えてくださり、私どもにご意見などをどんどんフィードバックしてくださったら嬉しいですね。

劇団ちりりん座代表 山浦弘靖氏

「劇団ちりりん座」
ホームページ:https://www.tiririn.jp/index.html
メール: tiririn@asao-kawasaki.com
FAX: 044-954-5131
団員募集:常時募集ではありません。ご希望の方はメール、またはFAXでお問い合わせください。


最後まで読んでくださりありがとうございます。市民の方の地域活動や市民活動等への参加と継続を応援するため、Facebook(つなぐっどKAWASAKI)でも情報を発信しています。よろしければ、フォロー、いいね!をお願いします♪