現役大学生が立ち上げた学習支援団体「かわさき芽吹塾」
この記事は、2021年10月10日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。
2021年5月、高津区に無料塾、かわさき芽吹塾が開校しました。
「無料塾」とは、様々な理由で有料の塾に通えない子どもへの学習支援活動(団体)です。かわさき芽吹塾では、毎週土曜日に溝の口にて、中学生・高校生を対象に、大学生のボランティア講師が無料で個別指導をしています。このような取り組みは現在全国に広まっており、様々な形態の無料塾が各地で開校しています。
2021年10月に取材した際は高津市民館にて授業を行っていました。
始業時間に生徒達が到着すると、出迎えた講師と和やかに会話しながら授業が始まります。塾オリジナルのテキストや問題集を使い、講師が隣で見守りながら英語と数学の勉強を進めていきます。参考書や備品、運営にかかる費用は寄付によって成り立っているそうです。
この時は緊急事態宣言が解除されたこともあり、講師希望の方も見学に来ており、全体的に明るい雰囲気で授業が行われています。
代表の吉沢春陽(はるひ)さんにお話を伺いました。
塾を立ち上げたきっかけは?
高校時代にアフリカでの壮絶な貧困について知る機会があり、当初は世界の貧困に取り組むボランティアに興味を持ったのですが、日本でも子どもの約7人に1人が貧困状態*にあることを知り、まずは日本の問題を解決するために学習塾でのアルバイト経験を活かせないかと考えていたところ、八王子で無料塾を開いている「八王子つばめ塾」と出会い、社会における無料塾の必要性を学びました。
私は昨年のコロナ感染拡大と同時に大学に入学したのですが、全く登校できない毎日の中、自分は何もできていないという不安をプラスに変えたい、行動しないと意味がないと考え、高校の同級生(現在の副代表)に声をかけて無料塾立ち上げの準備を始めました。
どのように塾を運営しているのでしょう
「八王子つばめ塾」で運営のノウハウを教わったのですが、自分たちが大学受験を終えて間もないことを活かし、中学生だけでなく高校生も対象にしています。
指導教科は、中学1年生からの積み重ねが大切である数学・英語をメインにしていますが、高校受験にも対応できるよう、その他の教科も希望があれば教えています。
指導にあたっては、自分たちで独自に作成したテキストと学習進度表を使用し、また講師向けのマニュアルも作っています。指導方法を徹底して定めることで、どの講師が担当しても内容に差が生じず授業を受けやすい環境を作っています。
現在生徒は中学1・2年生が中心の7人、講師は現役大学生で14人です。当塾のホームページやTwitter、こども文化センター等に置いたチラシを見て応募し、離れた地域から自転車やバスで通っている生徒もいます。
5月に開塾してから「半年位は入塾希望者が来ないのでは」と予想していたのですが、1、2ヶ月で早くも生徒が集まり始めたのは意外でした。実際はこんなにも無料塾を必要とする子どもがいたにも関わらず、誰もそれに気がついていなかったということの表れではないかと思います。
勉強への意欲が高いけれども、有料の塾に通うことができない子どもをぜひ救いたいですし、できれば学校とも協力して子どもの貧困を解決していかねばと考えています。
今後の目標は
多くの生徒に入塾してもらえるよう、宣伝方法について模索しているところです。今後、ゲームや映画鑑賞といったイベントも計画しています。努力が報われる環境がないために勉強への意欲を失ってしまっている子どもも多いと思うので、無料塾の存在が知られることで、少しでも勉強に興味を持ってもらえたらと思います。
大学卒業後も、自分も関わりつつ後輩に引き継ぐなどして長く塾を続けていきたいです。授業を受けた生徒たちが将来教える側として参加してくれるような良い連鎖がここで生まれてくれるといいですね。
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