「まちかどシェア」 様々な活動をする人や団体をつなぐ「場」
2012年に辻麻里子さんが代表となって8人で活動を開始した“宮前まち倶楽部(以降「まち倶楽部」と表記)は、神奈川新聞のコラム「市民発 地域をつくる人・活動」や、かわさき市民活動センターの若手応援コラム「U-50(アンダー50)」などで紹介され、地域を広く視野に入れた活動ぶりに注目されてきました。
2019年から、「まちかどシェア」というイベントを、地域と連携しつつ、まち倶楽部が核となって進めておられます。これまでの軌跡を冊子にまとめられたと聞き、まち倶楽部代表:辻麻里子さん、実行委員長:佐々木美香さん、さぎ沼商店会副会長:佐々木良司さんにお話を伺ってきました。
(取材日 令和6年2月2日 レポーター:山田知子)
「まちかどシェア」ってどんなイベントなのでしょう
地域には、共有できる場所や、多くの知識、経験、スキル、それからモノやコトなど、沢山の資源があります。
それらを身近な「まちかど」でお互いに見えるようにする、出会えるようにする。そんな場を提供したいのです。
出会うことが出来れば、いろんな人のもつ「資源」が自然につながっていき、新しい何かが生まれていく、そういう願いをこめて取り組んでいるのが「まちかどシェア」なのです。
いつから、どのように始まったのでしょうか?
まち倶楽部は、宮前区内で、人、活動、資源を様々につなぐ仕組みを考え、いろいろな人が活躍している場を紹介したり生み出すなど、誰もが参加できる場作りによる地域交流を目指して、2013年にスタートしています。
2017年から、手作り雑貨や地元野菜の物品販売を行う「まちかどマルシェ」を8回開催してきましたが、人々がもつ専門知識やスキル、それから空間も共有していきたいと考え「まちかどシェア」と名を改め、2019年9月から2023年6月までに10回開催しました。第2回以降は、まちかどシェア実行委員会を組織しました。
「まちかどシェア実行委員会」と「まち倶楽部」は別団体なのですか?
「まちかどシェアの実施に際しては、まち倶楽部だけでなく、行政、図書館、企業、商店会、町会等にも企画段階から積極的に関わっていただきました。そこで、実施する回ごとに「まちかどシェア実行委員会」を作ることにいたしました。それぞれの回が終わると終了し、また次の回では新しい委員会を立ち上げます。まち倶楽部のメンバーも毎回、委員として参加しています。(佐々木美香さん)」
「実行委員会には様々な人や団体に参加していただきました。それぞれ組織として繋がっているわけではありませんが、お互いに尊重しあい、知識や情報を共有しあっています。そのような、まちをよくしていきたいという思いをもった人達が出会う場を創るのが、まちかどシェアの役割ですね。(佐々木良司さん)」
「まちかどシェア」の具体的な様子を教えて下さい
◎第1回(2019年9月14日)では、駅前の店舗前とショッピングモール入り口脇のスペースを会場としてお借りしました。図書館の参加や、終活井戸端会議などにも多くの方が訪れ、「知のシェア」も歓迎されていると感じました。「場」というのは、広ければ良いとは限らず、お互いの顔が見え、会話が生まれる規模が重要だと実感しました。
◎第2回(2019年12月14日)では、出展者同士の助け合いや、来訪者との交流が多く見られました。不足の部分があるからこそ助け合い、そこに会話や交流が生まれるのですね。
◎第3回(2020年10月31日)、第4回(2021年6月5日)は、コロナ禍のため、オンライン開催となりました。初めての試みでしたが、どちらも多くの方に参加していただけ、有意義な内容となりました。
ITスキルの優れた区民有志の参加により、YouTubeに「まちかどシェアチャンネル」を開くことができました。
コロナだから出来ない、ではなく、むしろ新しい分野へ広がっていける可能性を見つけることが出来ました。
◎第5回(2021年11月13日)は、スタジオ中継と、リアル現場(鷺沼駅前)の2拠点で行った。現場は小規模であったが、リアルに出会うことの大切さを実感しました。
◎第6回(2021年12月5日)まちかどシェアは、初めて町会と連携できました。見学に来た他の町会長から「自分たちの町会でもやりたい」との感想をいただきました。
◎第7回(2021年12月5日)では、初めて勉強会というプログラムを組み込みました。
「まちづくりとオカネ」というテーマで、レクチャーの後、グループに分かれ、活発な討議をし、結果をシェアし合いました。勉強会は今後も続けたいと思っています。
◎第8回(2022年11月12、13日)は鷺沼小学校校庭で開催。成建(木造家屋建築体験)、やボクシング、ドローンのデモンストレーションなど、どれも大盛り上がりでした。
◎第9回(2022年12月4日) 宮崎台の公園で開催。今回も公園の清掃を行いました。前回より参加者が増えていました。年末の恒例行事として定着させていきたいですね
◎第10回(2023年6月18日) これまでの集大成として、会場を2カ所に分け、まちかどライブ、ビブリオバトル、など多様な内容を企画しました。まちづくり勉強会では、再開発を控えた鷺沼をテーマに「エリアマネジメント入門」として実施しました。
どのような成果があったと感じていますか?
私たちは場を提供しますが、この団体とあの団体をくっつけようとか、そういう画策は全くしません。でもイベント中に助け合ったり、雑談したりしている内に、自然に協働関係が生まれて行ってますね。勉強会でまちの未来を皆で一緒に考えたのも良かったと思います。イベントを一緒にやったり、まちづくりを考える飲み会が開かれたりしています。
これまでの出展者は、ほとんどの人が、また参加したいと言ってくれています。とても嬉しいですね。
実行委員会には様々な方が参加され、共同で実施したので、お互いに情報や資源をシェアし合い、連携することによって信頼関係ができ、さらなるコミュニティ作りに役立っていくのだと実感しています。
記念冊子を制作されたそうですね
『まちかどシェア全10回の記録』という小冊子を制作しました。
鷺沼駅前再開発に伴い 鷺沼でのまちかどシェアがこれで最後になるため これまでの軌跡を冊子にまとめたものです。
これまでに実施した全10回の記録、ウェブサイトの紹介、YouTubeチャンネルの紹介など、ご覧いただけます。
各回、詳しい紹介ページにリンクしたQRコードも掲載されております。
冊子を入手ご希望の方は、宮前まち倶楽部にお問い合わせください。
今後の抱負をお聞かせ下さい。
これまでは鷺沼をメインに開催してきましたが、再開発に向けて工事が始まるので、これまでの会場が使えなくなりました。鷺沼での開催は今回でお終いになりますが、まちかどシェアは続けていきます。
丁度10回開催したという節目でもありますので、少しお休みして、これまでを振り返り、今後について話し合いや勉強を重ねて、新たな企画を練って、また新たな気持ちでスタートします。
まちかどシェアで培ってきたノウハウを伝えていけたら嬉しいので、鷺沼や宮前区にとらわれず、お問い合わせ、ご参加いただけたら嬉しいです。
とても楽しいインタビューでした
設立当初から「この地をふる里と思えるような魅力あるまちにしよう」という目標を掲げてスタートされたまち倶楽部、まちかどシェアの今後に、ますます期待が膨らみます。
宮前まち倶楽部
宮前まち倶楽部ホームページ
https://machi-club.net/blog/
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まちかどシェア ホームページ
https://machikado-share.com/
YouTube まちかどシェアチャンネル
https://www.youtube.com/@user-ix4gj4sp9l
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