「おはなしもりのへや」へようこそ!
東急東横線の元住吉駅で下車。東口からオズ通りを抜け綱島街道を渡ると、静かな住宅街に入ります。ニヶ領用水分流の渋川沿いにある「住吉ざくら」の石碑に桜の時期を思い浮かべながら進むと、住宅街の一角にまるで山のロッジのような2階建ての家があります。敷地内に進むと、一番手前の木のドアに表札と「どうぞお入りください」の吹き出しメッセージ。ここが絵本文庫「おはなしもりのへや」です。入口の立て看板が開室日の目印です。
(取材日 2024年6月29日 レポーター 清水まゆみ)
10年を超える近隣小学校の図書ボランティア活動が原点
「おはなしもりのへや」を運営するのは小学校の図書ボランティアとして「読み聞かせを通じて子どもだけでなく大人にも絵本の楽しさを知ってほしい」という思いから設立されたグループ「おはなしもり」です。設立は2006年、現在のメンバーは10名。近隣の小学校、こども文化センター、わくわくプラザ、いこいの家などで絵本の読み聞かせを定期的に続けています。
活動を続けるなかでロータリークラブ、企業、個人の方などから多くの絵本の寄贈がありました。「せっかく集まった絵本たちを多くの人に届けよう」との思いから代表の栗原厚子さんの自宅の一角を改装し、2023年7月に絵本文庫「おはなしもりのへや」を開きました。現在約2700冊の絵本と紙芝居などが蔵書されています。
絵本で季節を感じる空間づくり
木のドアをあけ、靴を脱いで中に入ると正面に受付があり、右手に入ると8畳ほどの部屋の壁に本棚が並び、絵本や紙芝居などが「赤ちゃん」「らくごえほん」「ながーくよみつがれているほん」「ことばあそびうた」などオリジナルの分類で並んでいます。
今は梅雨。本棚の上には雨に関する絵本や折り紙で作ったアジサイが並べられて季節感いっぱいです。
座ってゆっくり親子で絵本を愉しむ
3歳の男の子を連れて入ってきたお母さんは最近気に入っている絵本を棚から出して一緒に座って開きます。「これ、大好きだもんね。借りていこう」と声をかけます。その様子を見つめながら栗原さんは「この絵本もおもしろいわよ」と別の棚にある絵本を紹介します。
「初めて来てみました。近所に住んでいるんです」と10か月の女の子を連れてやってきたお母さんは「図書館に時々行くけど、人が多くてゆっくりできないんですよね」と早速「あかちゃん」のコーナーにある本を出して、2人で楽しみはじめました「赤ちゃん」の本は一番下に並んでいるのでハイハイして自分で絵本をひっぱり出します。
絵本文庫が家の近くにあることで心が潤う
小学1年生と3年生の女の子と一緒にやってきたお母さんは、元保育士さん。近々近くのこども文化センターで読み聞かせをする大型絵本などを借りにきました。「ここが去年できてからよく通っています。こういう場所が家の近くにできたことで心が潤うんです」と笑顔で話します。栗原さんが貸し出す絵本の読み聞かせのコツを話すと「いただいたアドバイスを生かして家で娘たちに聞いてもらって練習します」と張り切っていました。
人に読んでもらうことで耳から言葉が、目から絵が同時に入ることを伝える
「絵本は大人から子どもまでのもの」が「おはなしもり」の考え方です。それに沿ってテーマを決めて絵本を数冊選び、2か月に1回、中原図書館の多目的室で一般向け(小学生以上)おはなし会「絵本が聞こえる!」も開催しています。偶数月の第4土曜日の14時から14時45分まで。6月は大自然シリーズの第2回「川」。7冊の絵本を読み、最後は加古里子(かこさとし)さんのパノラマ絵本「かわ」で締めくくりました。
開室1年をむかえ、スマホやタブレットの電子音でなく、人の声で読んでもらうことで得られる豊かさを「おはなしもりのへや」を通して伝えていきたいです。
朗読・読み聞かせボランティア「おはなしもり」
問い合わせ ohanashimori@jb4.so-net.ne.jp
絵本文庫「おはなしもりのへや」
会員制 入会金1000円 7月毎更新500円
オリジナルバック付き(初回のみ見学無料)
開室:土曜日 10時~12時 15時~17時
祝日休(他に不定休あり)
貸出:1回3冊まで2週間
場所:川崎市中原区木月住吉町18-30(東急東横線元住吉駅から約徒歩10分)