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花と緑と本でまちに人と人がつながる場所を~コミュニティナースのたま

多摩区宿河原の川崎市緑化センターで「暮らしの保健室」が定期開催されています。
「人とつながり、まちを元気にする」をモットーに活動しているコミュニティナースのたまちゃんが、自然豊かな多摩区の地域特性や看護師としての知識や経験を活かして、人とゆるやかなつながりをつくっている姿をお届けします。
(取材日:2025年1月7日 レポーター:古藤仁)


花と緑と本で人がつながる場所

2025年1月、「花と緑と本のある暮らしの保健室」が開催されました。
「暮らしの保健室」とは、暮らしの中で病院に行くほどではないけれど、ちょっと気になることや相談したいこがあるときに話を聞いてくれたり、一緒に考えてくれたりする人がいる場所。ただ誰かと話したいときや、一息つきたいときにも気軽に立ち寄れる居場所でもあります。
各地で特徴のある「暮らしの保健室」がありますが、ここでは花と緑と本が人々をつなげるアイテムになっています。主催するたまちゃんは「コミュニティナース」といって、地域住民と関わり、健康づくりやコミュニティづくりに貢献する医療人材です。

展示室で10~16時に開催しています
展示室の前にも、植物に関する資料がいっぱいです

こたつで話したり読書したり、のんびりしたり、それぞれの楽しみ方で

緑化センター内の展示室は、もともと植物に関する本の閲覧ができる場所です。そこにたまちゃんが体や心のケアに関する本やこたつを持ち込んでいます。こたつを囲みながら話をしたり、気に入った本を片手にセンター内の温室に行ったり、花や水が流れるのを見てのんびりと過ごすなど、参加者はそれぞれの過ごし方を楽しむことができます。
在宅介護の合間に息抜きで参加する方、通院の帰りに話しきれなかったことを話しに来る方、出勤前や立ち寄る方など、参加者はさまざま。認知症の心配事を話しに来る方もいます。「誰に相談していいかわからないこと、漠然と不安に思っていることを抱え込まず伝えてもらいたい」と、たまちゃん。
私には、たまちゃんの優しい雰囲気とこたつの温かさが参加者に話しやすい雰囲気を作っているように感じました。

こたつを囲みながら、本を選んだり、楽しくおしゃべりしたり
お気に入りの本はあるかな?おすすめを聞いてみよう

地域の宝。使わないのはもったいない

たまちゃんは、もともと向ヶ丘遊園駅前の商業施設内で暮らしの保健室を開催していましたが、残念ながら施設が閉鎖してしまいました。新たな活動の場を探そうと地域のことを見直したときに、多摩区は森と水辺が近い自然豊かなまちだと気がつき、生田緑地や二ヶ領用水など近隣を散歩するうちに、緑化センターという魅力ある場所に気がつきました。四季を通して草花が育てられていて、敷地内に二ヶ領用水が流れている。この地域の宝を使わないのはもったいないと思い、施設利用を申し出たところ、趣旨に賛同してもらうことができ、展示室を借りて「花と緑と本のある暮らしの保健室」を始めることができました。

緑化センターは植物も水も豊かです
緑化センターの管理事務所奥。展示室で開催しています

活動のきっかけは震災とコロナの日々

「2011年の東日本大震災時に勤めていた病院が災害拠点病院だったため、震災後しばらくは東北に支援に行っていました。大災害の中で地域の人が支え合い復興していく姿を見た経験は"地域とともにあれ"という私の看護感の根底になっています。
2020年からのコロナ禍では、職場である介護施設に泊まりこみ自宅に帰れない日々を何度も経験しました。家族さえも看取りできない悲惨な状況下で、心身ともに疲弊していく同僚たちを見て、ケアする人のケアの大切さを再認識し、いつか地域でケアに関する対話カフェに取り組んでみたいなと漠然と考えていました。
同時期に多摩区に転居。ちょうど登戸・向ヶ丘遊園地区には、区画整理事業で生まれた空き地を利用したイベントスペースなど、住民がまちづくりと関われる"余白"になっているような場所がいくつかありました。そこで活動をしている仲間たちに出会えたことが、私の活動開始の後押しとなりました。区画整理の変化の波で揺れ動くまちの中で、人と人とのつながりや支えあいの場をつくり、ゆるやかにまちにつなげていきたい、という思いから、暮らしの保健室を始めました」と、たまちゃんが活動のきっかけを語ってくれました。
「活動を続けられる原動力は何?」と聞いた私の質問に、「現役の看護師としての仕事が大変なこともありますが、SNSなどで私の活動をみて、『自分にもできるかもしれない』『自分もやってみたいな』とケア職の皆さんに思ってもらえるのがうれしいです。ケア職は業務で忙しく職場以外の人とのつながりが薄いことが多いので、活動などを通して、地域でのつながりを広げてほしい」と話してくれました。

「花と緑と本のある暮らしの保健室」は、活動でつながった医療従事者も参加しています。今回は、訪問看護の経験を持つコミュニティカフェオーナーの佐藤永子さんと一緒に参加者を出迎えてくれました。

ナース二人が笑顔でお出迎えしてくれます

これからの夢は移動式暮らしの保健室!

現在は平日の昼間に月2回程度、「花と緑と本のある暮らしの保健室」を開催しています。昼間はお勤めの方も多いので、平日夜などに別の場所でも開催時間の幅広げていきたいそうです。
活動が楽しくて、昨年秋より働き方を変えたたまちゃん。「開催できる場所も増やしていきたい、屋台のように移動式の暮らしの保健室で巡回し、老若男女を問わず多くの方とゆるやかにつながりたい」と夢を語ってくれました。
気軽に相談できる場所ができて安心する住民と、地域の方を支える医療従事者の互いがつながれる場所ができていく姿を、見守っていきたいと思いました。

インスタグラム 花と緑と本のある暮らしの保健室 
今後の開催予定は、こちらから確認ください。
https://www.instagram.com/kurashino_tamaku?igsh=ZjBrZ2NtbHc0dDdl
インスタグラム コミュニティナースのたま 
たまちゃんのほかの活動もご覧ください。
https://www.instagram.com/canmarimo?igsh=MTFkMjZnbnloenB1bg==
川崎市緑化センターアクセス
https://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000018957.html

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