第40回かわさき演劇まつり「モモ」 ~市民がつくる親と子で楽しめる舞台~
この記事は、2023年07月26日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。
1972年に始まったかわさき演劇まつりは、市内で活動する演劇関係者と市民が、一年一年力を合わせて作り上げてきた演劇祭です。出演者も、市内の劇団、演劇人、市民からの公募によって決定し、親子で楽しめる舞台となっています。
第40回を迎える本年度公演は、ミヒャエル・エンデ原作の「モモ」を上演します。
50年前に書かれ、世界中で読まれ、上演されてきた「モモ」。
今回はその脚本・演出を、劇団「TOKYOハンバーグ」主宰の大西 弘記(おおにし ひろき)さんが担当しています
上演間近の稽古場を訪問し、主役モモ(ダブルキャスト)を演じる中田 結(なかた ゆい)さん、堀 美由(ほり みゆ)さん、そして大西さんにお話を伺いました。
モモを演じるお二人に伺いました
◎中田 結さん(高校2年生)
父方の祖父がテレビ俳優だったので、その影響を受けたようです。子どもの頃から舞台に立ちたいと憧れていました。
最初はバレエを習っていたのですが、ミュージカルに転向したら自分にとても向いていると思い、演劇を志すきっかけになりました。
高校卒業後も演劇の勉強をしていきたいので、進路として演劇を考えています。
学校のテスト期間と、舞台の稽古が重なることもあるので、両立には苦労しています。
◎堀 実由さん(中学2年生)
小さい時から俳優になりたいと憧れていました。私から両親にお願いして劇団に入りました。
「モモ」は大好きなお話で、何度も読みました。まさか自分がモモに選ばれるとは思っていなかったのでとても嬉しいです。
立派な舞台で演じることができるし、こんな素晴らしい役を貰えて、今は何よりも優先してこの役を演じきりたいです。
大西弘記さんからは、これまでの演劇のキャリアなども併せて伺いました
◎演劇・劇団への思い
僕はTOKYOハンバーグという劇団を主宰していて、主に現代劇をやってきました。
演劇を始めたのは20歳の時です。上京して小さな劇団の俳優になったのですが、25歳の時に師匠が他界しましてね、28歳の時に自分でやろうと決心し、TOKYOハンバーグを立ち上げました。今年で17年目です。その間にもちろん紆余曲折はあったけれど、今いる仲間達と乗り越えてきました。
これからも演劇を続けていきたいです。そのために、続けられる環境を作っていきたいのです。つまり、役者が職業として成り立つように、暮らしていけるようにしたいと、頑張っているところです。
◎「モモ」への思いと意気込み
「モモ」の脚本、演出のお話をいただいたとき、やはり緊張しましたよ。世界の名著ですからね。50年前に書かれた作品を、現代人の心に響く脚本にして演出したい。僕はそこを狙いました。もちろん本質的なところは変えてはいけませんがね。公募で集まった60人以上(7歳~90歳)をまとめて引っ張っていくのですが、皆、僕をよく見てくれているので苦労は感じていません。もちろん指示は出しますが、相手を信頼し尊重することを大切にしています。多人数というのはパワーがありますし、創造力をかき立ててくれるので、新しい何かが生まれてきそうでワクワクしています。
演劇では、表現者が舞台で生の呼吸をしています。舞台上で生きているのです。つまり「モモ」という文学作品を通して一人一人の生き様を表現しているのです。それぞれの気持ちが表現となってアウトプットされているわけです。エンデの「モモ」でもあるが、一人一人の生き様の表現でもあるのです。
皆で一丸となって頑張っていますので、見た人が「来て良かった」、「こういうのが見たかった」と言ってもらえる演劇をお見せできると思います。
稽古や大道具製作の様子
インタビューの後、稽古が始まっていました。
できたばかりの大道具を使っての立ち稽古とのことで、動線を決めるため大西氏が一番動き回り、一番汗を流しておられました。
「相手の動きを見て、リアクションする」「相手の言葉を聞いてそれに反応する」など、「相手を見て」という指示が多く発せられていました。
休憩時間には、出演者たちが小道具の缶ストーブを囲んで楽しそうに炉端会議をしていました。
稽古場の下の階では、大道具などを製作する音が賑やかでした。
美術大学の学生がボランティアで手伝っているとのことで、人の出入りも多く、とても忙しそうでしたが、笑い声が響き、楽しそうでした。
出演者も、制作スタッフも、共に上演の日を目指して、舞台の準備が着々と進められていました。
(取材日2023年7月1日 レポーター:山田知子)
第40回かわさき演劇まつり「モモ」
会場 多摩市民館ホール
日程 2023年7月29日(土曜)、7月30日(日曜)
時間 各日 11時開演/15時30分開演
※開場は開演の30分前
※上演時間約2時間15分(途中休憩15分を含む)
問い合わせ先
かわさき演劇まつり実行委員会(京浜協同劇団内)
TEL: 044-511-4951 Fax:044-533-6694
メール:matsuri_engeki@yahoo.co.jp
主催:かわさき演劇まつり実行委員会・公益財団法人川崎市文化財団
共催:川崎市、川崎市教育委員会
後援:音楽のまちかわさき推進協議会
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