グリーフケアCafe あかり(māmā) ~哀しみのなかにある心にあかりを灯す~
この記事は、2023年07月20日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。
大切な人やなにかを失った経験によって生じる「悲嘆と反応」のことをグリーフ(grief)といいます。人は、「大切な存在との別れ」という深い哀しみを経験した時、どのような状態になるのでしょうか。どのように向き合っていけばいいのでしょうか。
自身の経験からもグリーフケアの必要性を感じたというメンバーが、2021年から準備を始め、2022年に「グリーフケアCaféあかり(māmā)(以下「あかり」)」の活動を立ち上げました。
団体名にある「māmā(ママ)」とは、ハワイ語で「あかり」という意味。
「いまあなたが暗闇の中にいても、心に小さな灯りをともすことができますように」という想いを込め、名付けられました。
「あかり」では、グリーフ専門士の資格を持ったメンバーが、別れを経験し悲嘆に暮れている方々の同行者としてサポートを続けています。
その活動について、「あかり」共同代表のお二人、看護師の國富多香子さん、傾聴カウンセラーの伊藤礼子さんからお話を伺いました。
活動について教えてください
「あかり」は、大切な人、あるいは大切な存在(ペット等)をなくしたときのつらさや、哀しみに寄り添いながらグリーフのケアをしていこうという活動です。
私たち自身もグリーフの経験者であり、その経験から、グリーフケアの必要性を感じておりました。そして、グリーフについて学びを深めるために飛び込んだ日本グリーフ専門士協会で同じ志の仲間と出会い、地域に根ざしたグリーフケアの場を一緒に作ろうということになり、この「あかり」発足させました。
具体的にはどんなことをするのでしょうか
「あかり」では、グリーフを抱えている方が集まって、その気持ちを語り合える場として「わかちあいの会」を始めました。
大切な存在をなくした哀しみは、消えるものではありません。ただし、日常生活の場ではその気持ちを表に出すことができないまま過ごすことも多いでしょう。すると哀しみは心の奥に押し込められてしまうため、深いグリーフとなっていつまでも抱えることにもなりかねません。
「誰にも話すことができない」そんな気持ちを口に出して話すことができれば、心が軽くなることもあります。また、他の方の話をお聴きすることによって、新しい気づきが生まれることもあります。同じような気持ちを抱えた方の存在によって、「つらいのは自分だけではない」と知って、孤独感から解放されることもあります。「わかちあいの会」はそのような感情や経験をわかちあえる場となっています。
会の開催方法は、実際に集まって行われる地域開催の会と、オンラインを通じて開催される会の二種類があります。地域開催の会は川崎市(武蔵小杉)で開催しております。オンラインの「わかちあいの会」(IERUBA)は一般社団法人日本グリーフ専門士協会の主催で、「あかり」は第三木曜日に開催される会を担当しております。どちらも毎月1回開催しており、事前予約が必要です。(日程等詳細はホームページでご確認ください)
どんな方が参加しておられますか
「わかちあいの会」は初回の開催から毎回満席のご予約があります。
参加者の年代は幅広く、またお住まいも川崎市内や市外とさまざまですが、それだけ身近に想いを「話せる場」がないということかもしれません。
皆さん初対面ではありますが、不思議なことに話しているうちにご参加者の皆さんに一体感のような感覚が生まれてきます。その感覚は、ほとんど毎回感じますね。お互いに名前も知らない「一期一会」の間柄なのですが、大切な人をなくしたという同じ経験をした方同士の想いがここで響きあうからでしょうか。(会では本名でなくニックネームの使用も可)
「話せる場があってよかった」「自分は一人じゃないと思えた」などの感想をたくさんいただいております。「参加してよかった」と言っていただけると、心から活動を始めて良かったと思います。
これからの展望などお聞かせ下さい
この活動を地道に、長く続けていくことを第一の目標にしています。
たとえ会に参加しない時でも、「自分にはいつでも安心して話せる場がある」ということを心のお守りのように感じていただけると嬉しいです。
それから、グリーフをケアすることの大切さを、より多くの方に知っていただきたいですね。
こうしたあたたかい場があるという情報が必要な方に届くようにもっと広くお伝えしていきたいです。
他にも「わかちあいの会」の回数を増やし、グリーフの対象別にグループを分ける、さまざまなワークショップや講演会を開くなど、やりたいことはいろいろあります。そのためにも、支援者としての仲間を増やしていきたいですね。
「あかり」として、皆さんのお気持ちに丁寧に寄り添い、いつでも安心してご参加いただけるよう、セルフケアをしっかりして、自分自身を整えておくことも心がけていきます。
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(取材日:2023.6.17 レポーター:山田知子)