この記事は、2022年1月5日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。

無料または低価格で子どもたちに食事を提供し、地域のコミュニティづくりの場にもなっている「子ども食堂」。川崎市内でも様々な団体が活動しています。
2021年11月、向河原に新たな子ども食堂「むかいがわらこども食堂じぃーじぃーず」がオープンしました。

向河原駅のほど近くにある店舗は、入口を入ってすぐキッズスペースがあり、訪れた子どもたちが壁際のホワイトボードにお絵描きしたり、窓辺のぬいぐるみを抱き寄せたり、自由に遊べるスペースになっています。食事の受け取りや支払いはセルフ方式になっており、カウンターのご主人と気軽なコミュニケーションが生まれています。
この食堂の大きな特徴は、毎日営業し、そして朝昼夕の3食提供している点です。地域の住民はいつでも行きたい時に朝ごはんや夕ごはんを食べに行けます。夜はお酒も用意しているので、大人の「仕事帰りにちょっと一杯」や「子どもに食べさせつつ自分はお酒」といったニーズも満たせます。
これまであまりなかった便利な営業形態、しかもお料理がどれも美味しい！という素敵なお店ができた経緯を、責任者の宮田明さんに伺いました。

どのようにこの食堂が誕生したのでしょうか

これまでホテルやレストランでコックとして42年勤めてきました。コロナ禍の飲食業自粛が続いていた中で定年を迎えるにあたり、20代まで暮らした川崎に戻り、退職金を使ってこども食堂を開くことを考えました。

多くのこども食堂は開催日を定めて定期的にオープンする運営方式をとっていますが、でも食事は毎日するものなのだから常時開店していたい、子どもに負担をさせない形態でどのように継続して営業していけば良いだろうと考えていた所、奈良県のげんきカレー*で行っている「みらいチケット」の仕組みを知り、当店でも導入することにしました。

「こども食堂じぃーじぃーず」では、「ミールチケット」を用意しています。
来店された方が当店の趣旨に賛同して1枚300円でチケットを購入していただくと、様々な事情で支払いができない子どもが、このチケットを使って食事できるというシステムです。
現在は新規募集を停止するほど沢山の方に「ミールチケット」を購入いただいたので、今後はこのチケットを必要とする子どもに届けるべく、店内で無料塾を開き、学習支援をしてくれる方と生徒さんが勉強と一緒に食事もしてもらう事を検討しています。

地域の方々はどのように使われているのでしょう

現在はお仕事の合間に朝食やランチに来られる大人の方もいれば、お金を握りしめた子どもが夕食を食べに来店し、食後店内で遊んでいる間に仕事帰りの母親が迎えに来るといった使い方をされるお客様もいらっしゃいます。友達同士で人生初のランチ会を試される女の子も来られました。認知度が上がって安心して来てもらえているのかなと思います。

当店は朝食メニューも、夜にお酒も用意しているので、この地域で暮らす親御さんたちに、たとえば朝寝坊して朝食の支度ができない時に登校前の子どもを来店させたり、疲れて帰ってきた日はここで子どもたちを遊ばせながらお酒を楽しまれるといった利用もぜひしていただきたいです。普段コンビニでお弁当を買う以外の選択肢として「今日は疲れちゃったし、じぃーじぃーず行こう」と思ってもらえると嬉しいです。もちろんお子さん連れでなくても、朝食やお酒と手作りおつまみが食べられるお店として気軽にお立ち寄りください。

今後どんなお店にしていきたいですか

コロナ禍がなければ自分がこども食堂を開くなんて考えてもみませんでした。幸運にも店舗の物件もすぐに見つかり、思い立ってから1年以内でオープンに至る事ができました。近隣のこども食堂からの協力も頂いています。経営は大変ですが、定年後の生きがいとして、また子どものための居場所づくりとして、自分も楽しみつつ地域の方々にも喜んでもらえたらと思っています。
オープンしてからグルメサイト等に宣伝のお誘いを頂きましたが、この店は遠くの人に来てもらうより、歩いて来られる近所の方向けに、大人も子どももふらっと立ち寄ってもらえる店を目指していきたいと思っています。

店舗詳細

むかいがわらこども食堂じぃーじぃーず
川崎市中原区下沼部１７６８小宮ビル１F
営業時間
　朝：７時頃〜９時　朝食300円
　昼：11時頃〜14時　定食600円
　夜：16時30分頃〜20時　定食600円、お酒300円〜、おつまみ300円
　土曜・日曜は昼と夜のみ　ワンプレート600円
　（子どもの食事はいずれも300円）