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ウインドフレンズ吹奏楽団 ~訪問演奏の練習に集まることが楽しい~

この記事は、2021年12月4日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。

違う楽器と音合わせをしたい。楽曲を完成したい。曲が仕上がるとだれかに聴いてほしい。大好きな楽器を練習している人はこのような気持ちを抱くようです。
ウインドフレンズ吹奏楽団には、そんな人たちが集って、響きあう音が一つになるように丹念な練習を重ねています。10人の団員は皆それぞれに一週間の仕事や学校を終え、土曜日の夕方、練習に集まります。
そして、練習成果の発表は、市内外の高齢者施設などへの訪問演奏です。聴き手や施設の様子をお聞きしながら選曲します。「青い山脈」、「北国の春」、「憧れのハワイ航路」などが定番曲です。「ふるさと」を聞き、思い出に感情が溢れて泣き出す高齢者もいるそうです。

練習日に楽団を訪ね、代表の栗原浩太郎さん(50)にお話をうかがいました。


まず、練習風景を見せていただきました。

この日は、「りんごの唄」の練習をしていました。 
指揮者「ここのタン、タン、タン、タ、タ・・というここの変化がこの曲を印象付けるところですから、きちんと音をのせてください。そうでないと台無しになってしまいます」
指揮者「フルート、もっと頑張りましょう!」
サキソフォーン「じゃあ、わたしは少し音を下げましょうか」
指揮者「そう、フルートを活かすためにいいですね」
指揮者「そこはしっかりと。リンゴがカボチャにならないようにね」

練習風景

演奏の指揮をする木村茂雄さん(79)の声は穏やかでユーモアも飛び出しますが、大事なところは外しません。

それから、演奏に使っている楽譜は、団員によるものだそうです。吹奏楽で豊富な経験があり、ユーフォニュームを演奏する荒牧美智子さん(40代)が楽器それぞれの特性をいかして編曲しています。メロディーと伴奏を各楽器に振り分け、それぞれの譜面が出来上がります。著作権にも気を配りながら吹奏楽を皆で楽しんでいます。

ユーフォニューム担当メンバー

始まりは「勤労青少年」の音楽講座

ゆったりとした雰囲気の中で、熱心に練習し、互いを気づかい、つながりを感じさせるウインドフレンズ吹奏楽団。その雰囲気は、かつて県立川崎市青少年会館(現在はありません)で行われていた「音楽の広場」に学んだ人たちの音楽活動の名残かもしれません。

「音楽の広場」は、高度経済成長期に全国から神奈川県へやってきた若者たちを対象に行われた、県の「勤労青少年健全育成事業」の流れをくむ音楽講座だったといいます。その講座が終了する時、栗原さんは「年齢はさまざまだけれど、音楽が好きで吹奏楽が好きな人たちの行き場がなくなる」と思ったそうです。「指導いただいた先生方から、続けるなら応援するよと言ってもらったことで、今日まで演奏活動が続いています」と振り返ります。指揮の木村さんも当時、県の職員として音楽の広場に深く関わっていた方です。

それから30年以上が過ぎ、団員の顔ぶれは変わりましたが、温かい雰囲気はそのまま残っているようです。栗原さんは「コンクールのトップを目指すだけではなく、好きな楽器を演奏し仲間とのつながりを感じあえる楽団だからこそ、心を安らげることができる」といいます。

指揮の木村さん(左)とフルート担当メンバー

こんなこともあります

介護支援専門員(ケアマネジャー)の団員が、広い職業領域のつながりを活かして訪問演奏先を紹介してくれていました。2020年8月、その彼が連絡なしで練習を休み、数日間フェイスブックの書き込みも止まりました。「何かがおかしい」と敏感に感じた栗原さんが手を尽くし調べると自宅で亡くなっていたことがわかりました。急な体調の悪化だったようです。死後一週間ほどの発見でした。悲しみの中、団員からは「すぐに動いてよかった」「とても残念なことでしたが早く発見できてよかった」という声も聞かれました。

栗原さんは団員との練習に参加できない時でも、練習時間が終わるころに車で駆けつけることがあります。楽器は重量があります。栗原さん自身の練習時間が取れなくても楽器を運ぶ団員の助けになろうとしているのです。

代表の栗原さん(手前)とトランペット担当メンバー

今後の演奏活動について

「今は、さまざまな個性の団員がともに認め合い演奏を楽しんでいます。一週間ぶりにみんなが元気に集まってくれることが楽しく、職場にはない喜びがあります。これまで訪問先を見つけてくれた団員が亡くなったこととコロナ禍が重なり、訪問演奏も難しい状況です。リピート要請はありましたが今は控えています。訪問演奏をしたくて入団している人が多いので、これからも訪問先との出会いを大切にしてゆきます。」と話しています。

練習日のメンバー

訪問演奏依頼や新規入団に関しては栗原さんへお問い合わせください。随時応対しています。

gransazer@ezweb.ne.jp (栗原)

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