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認知症や介護を取り巻く社会環境という視点から見た「ペットの問題」について

この記事は、2019年7月22日に協働・連携ポータルサイト「つなぐっどKAWASAKI」で公開されていたものを転載したものです。

6月23日(日)、川崎市動物愛護センターで、「高齢者とペットの問題について考える公開セミナー」が開催されました。
(主催:かわさき高齢者とペットの問題研究会)


飼い主の高齢化に伴うペットの問題

介護が必要な高齢者を支える関係者にとって、「ペットの問題」が大きな課題になっています。実際にどのような問題が起きているのでしょうか。また、今後どのような対応が望まれるのでしょうか。
高齢者福祉の問題に取り組んでこられた朝日新聞記者・清川卓史さんの講演を聞き、皆で問題を共有し、今後について考えるためのセミナーでした。
当初は参加定員を80名としていたところ、参加希望が多いため120名に増員したとのことでした。福祉業務に携わる方の参加も多く、熱心な質疑などからも現場の切実さが伝わってくるように感じられました。

動物愛護センター外観

講演概要

高齢化に伴い、ペットの世話ができなくなったり、飼い続けることができなくなったとき、ペットの世話や保護などをどうすればよいか。このような問題が各地で多発しています。高齢者福祉の問題に取り組んでいるうちに、「ペットの問題」は切り離して考えることはできない、と感じるようになりました。

ペットの世話は介護保険では取り扱うことができません。また法的にペットは飼い主の承諾なしに譲渡することができませんが、飼い主が認知症や緊急の入院などで手続きができない場合もあります。介護にかかわっている職員の努力や善意によって何とか切り抜けているのが現状です。関係機関が相互に連携しあう関係作りが必要です。

質疑応答の様子

介護保険制度には「混合介護」という仕組みがあり、一部自治体で本格的に試行され始めました。老後が長期化していく中で、ペット問題は大きな要素の一つととらえるべきであり、制度的にきちんと位置付けておかないといけないと考えています。
(混合介護:介護保険サービスに保険外サービスを組み合わせたもの。介護保険に認定されていないサービスは全額自己負担)

<清川卓史さんプロフィール>
朝日新聞編集委員。介護保険や認知症、貧困・生活困窮問題の取材をしてきました。介護福祉士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。第1回貧困ジャーナリズム大賞を受賞(2007年)

講師 清川卓史さん

かわさき高齢者とペットの問題研究会(代表:渡辺昭代さん)

「飼い主の高齢化に伴うペットの問題は今後さらに増加する。早期解決のために今、手を打たなければ」と、かわさき犬・猫愛護ボランティアの有志が設立しました。2015年から活動を開始。高齢者が直面する問題に取り組み、いろいろな面からサポートして解決へと導くことを目的としています。
090-7633-2468(渡辺)

渡辺昭代さん

かわさき犬猫愛護ボランティア

犬、猫等の適正飼養及び動物愛護思想の普及啓発、犬、猫等の譲り渡し制度への協力などを行う市民ボランティア。(動物愛護センター内)

動物愛護センター「ANIMAMALL かわさき」

2019年2月12日、中原区上平間に新しく移転開設。人と動物が共生する社会の実現に向けて、市の動物対策の中心的業務を行うとともに、犬、猫等の譲渡、収容動物の 健康管理、動物愛護思想の普及啓発の場として市民サービスを実施しています。
電話:044-589-7137

編集後記

ニュースで聞こえてくる「ペットの問題」は、動物愛護という観点から報道されることが多く「かわいそうに」「ひどい飼い主がいるものだ」といった受け止め方で終わってしまうことが多いように思います。このセミナーを取材させていただき、こういったニュースで報道の背景で、様々な問題が解決を待っているのだと気づかされ、大変勉強になりました。
「飼い主の高齢化に伴うペットの問題」は、これからますます増加することが予想されます。法制度等の改善と共に、行政もボランティアも地域住民も含めた支援の連携が望まれます。「かわさき高齢者とペットの問題研究会」の今後の活躍を願ってやみません。


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